uedai blog

日々のこと、読書日記、徒然なるままに思うところ

きつねのはなし

超久しぶりの更新。
なんかもうブログの存在自体忘れてたわwww



森見 登美彦
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森見登美彦の小説。
つい先日(といっても一月も前)新宿の紀伊国屋だったかジュンク堂だったかをぶらぶらしていたところ、無造作にこの小説が積まれているのに愕然とし、次の瞬間にはレジに並んでました。


この小説ですが、表題作の「きつねのはなし」を含む4編で構成されています。
他三つは「果実の中の龍」、「魔」、「水神」です。
あらすじを書くのはめんどくさいので適当にググってくださいw


えーまあ、森見登美彦というと「太陽の塔」、「四畳半神話大系」、「夜は短し歩けよ乙女」に代表されるように、痛快青春馬鹿コメディ=森見登美彦というところがあると思います。
そんなお笑い要素満載の森見登美彦ですが、あえて笑いの要素を抜き出した小説、それが「きつねのはなし」です。
京都を舞台にしていることは変わりないのですが、今までの小説を青春やお笑い要素を描いたいわば「表の話」とすると、「きつねのはなし」は不気味だったり不可解な部分を描いた「裏の話」と言えます。
内容的には、ホラーというほど怖いものではないですが、不気味で不思議な話です。村上春樹東京奇譚集とか近いんじゃないですかね。


まあそんなこんなで、黒登美彦みたいな部分が垣間見える作品になっています。
個人的には、「果実の中の龍」が良いですね。評判通りですw
というのもキャラクターが面白いからです。「きつねのはなし」も出てくるキャラクターが面白いけど、その人物に引き込まれるような魅力は「果実の中の龍」の先輩が一番大きい。
あとは、言葉とか好きだったからかな。

自分自身の焦燥のためである。先輩が語るのを聞くのは面白くても、それに引き比べて自分を見たとき、自分がいかにつまらない人間であるかということが痛感される。それが我慢ならなくなった。

まるで飛んで火に入る夏の虫、夏の夜の街灯に群がる虫のように、光り輝く魅力的な存在に惹かれていくが、そのせいで自身を焼く。この心理には痛感した。面白い人といることはとても楽しいことであるが、それは自身のつまらなさを肯定するようなこと。それが我慢できないのはしょうがないものですね。
また、「果実の中の龍」では、先輩の話が妄想であると発覚するわけですが、その他の話を読んだ後だと嘘か本当かはっきりしなくなってきます。そんなぼんやりとした見えるようで見えないような気分がこの小説を表しているようです。


何か一本の糸で4つの話が結びつけられたようでどこか曖昧、それぞれの真相があるようで深い霧に包まれているような朧気さ。

この街には大勢の人が住んでいて、そのほとんどすべての人は赤の他人だけれども、彼らの間に、僕には想像もつかないような神秘的な糸がたくさん張り巡らされているに違いない。何かの拍子に僕がその糸に触れると、不思議な音を立てる。

そういう未知なる部分に魅力を感じますね。