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日々のこと、読書日記、徒然なるままに思うところ

宵山万華鏡

ページが見つかりません - MSN産経ニュース
お久しぶりです。先日は京都で宵山がありましたね。
昨年より4万人多い35万人が参加したようです。僕も参加したかった。来年は是非とも参加して人混みにもみくちゃにされて、京都は怖いところだと言って帰ってきたいですね。

森見 登美彦
集英社
発売日:2009-07-03


ということで、友人から借りていた森見登美彦の「宵山万華鏡」をとうとう読み終わったので紹介したいと思います。
宵山万華鏡」は「きつねのはなし」に雰囲気は似ているものの、今までの小説観をうまく取り込んだものになっています。


題通り、宵山という一つのシーンで起こる様々な人の動きを万華鏡のようにくるくる描いています。雰囲気は「きつねのはなし」、章ごとの繋がりを描く方法は今までの小説で完成したものを使い、夜は短し歩けよ乙女の偏屈王のくだりが出たり、小説全体に今までの話を踏襲するようにしています。
中でもこの小説での肝は、様々な人の視点に立ち、万華鏡のようにくるくると宵山を描くことで、人の繋がりや宵山の数多な側面を描き出しているところにあります。これはすさまじい。もうどれが現実の話なのか、幻想の話なのか、わからなくなってくる。今までもいろいろなキーワードで小説全体を関連させることをしてきたが、今回のはより複雑に絡ませているなと感じました。
「きつねのはなし」で描いていた、京都の様々な人間の関係が織りなす不思議な糸の繋がりを今回もうまく描いているように感じます。すごい。


そして、万華鏡と言うだけあり、色彩も豊かで、読んでいる途中には脳裏に子供の頃のお祭りの景色が鮮明に描き出されていました。
この色彩感覚は、ジブリに通じるものがあるなぁと思う。宵山万華鏡はジブリで映画化してほしい。つか普通に映画化してほしい。視覚的に絶対面白い。なんか姉妹の話は千と千尋みたいだし。


そんなこんなで、超おすすめ。実におもしろかった!
色彩豊かな脳内映像の美しさ、今までの小説観を踏襲した小説としての深さ、人間関係が織りなす京都の不可思議さ、どれをとってもおもしろいの一言に尽きます。
今までの森見登美彦らしさとは一線を画すので、今までの小説があまり好きではない読者にもおすすめできます。